セカンドオピニオンはビザ・在留資格の申請でも重要です
目次
セカンドオピニオンとは
医療の現場ではすっかり定着しましたね。
直訳すると「第2の意見」となりますが、セカンドオピニオンとは主治医以外の医師から意見を聞くことを言います。
他の医師の意見を聞くことで、主治医の治療が適切なものかどうか、他にもっと良い治療法がないかというように、患者にとって納得のいく治療を受けることが可能になります。
逆に、現在の治療が最適であるとお墨付きをもらうことで安心して治療を継続することも可能になりますね。
医師には内科、外科、小児科、耳鼻科etc…といった科目がある通り、専門性があることはご存知だと思います。
でも、なぜ同じ専門科目の医師によって診察結果や治療方針が変わるのでしょうか。
それは、診察手段と経験とノウハウに違いがあるのだと思います(私は病院関係者じゃないので、あくまで予想ですが)。
MRIやCTがなければ詳細な体内の画像を見ることはできません。
そうした設備の無い病院であれば、別の病院を紹介するか、現にある手段で診察するしかありません。
経験やノウハウは然りですね。
病気や怪我なんて人によって千差万別ですので、やはり診てきた数が診察結果に影響します。
そして、その対策=ノウハウが充実していれば最適な治療法を選択する可能性も高まります。
行政書士の専門性
行政書士の仕事って、基本的に「本人の代わりに申請する」ことになります。
「代筆屋」と言われる所以ですね。
こう書いてしまうと、大した仕事じゃなさげですが、そんなことはありません。
みなさん、何かしらの申請や手続きをされた経験はあると思いますが、申請書はすんなり書けましたか?
これまで、迷いなく書いてきたと言う人は少数派だと思います。
だって、何を書いたらいいか、どうしたらいいか分からないから。
また、自分が申請できるか、申請していいか、申請しても許可されるか悩まれたことはありませんか?
悩むにしても、どうやって悩みを解決しましょうか。
ネットや本で調べる、窓口に聞く、専門家に聞くetc…
出てきましたね。専門家。
代筆するだけだと価値がありませんよね。
行政書士は代筆できるだけでなく、専門性を持っていますのでコンサルティング的役割も果たすことができます。
手続きや申請は、申請者によって必要書類が変わりますし、受理や許可される条件も変わります。
パスポートを取るときも人によって違いますよね。
初めて取る人、無くした人、名前の変わった人、外国人の人。
「パスポートを取る」という言葉で括れますが、実際の手続きは微妙に、または全く異なるものです。
これは簡単な例ですが、専門家であれば微妙な場合についても「この場合はこうする」という実務を知っていますし、知らなくても判断できることが多くあります。
ビザ・在留資格のセカンドオピニオン
ビザ・在留資格の申請については、行政書士の業務の中でも最も専門性を求められる分野の一つです。
もう少し言うと、ビザ・在留資格の申請代行は申請取次資格を持っている行政書士のみが可能な業務です。
つまり、行政書士の中でも限られた人しか取り扱えない業務なんです。
さて、ビザ・在留資格についてですが、許可されるかどうかを判断するのは結構難しいんです。
なぜなら、許可条件は明確に定められていないから。
幅広い人を対象にするために、抽象的表現にとどめられている条件が多いんです。
そのため、詳しくない人からすると申請が許可されるかどうか全く判断ができないと思います。
例えば、日本人のタケシ君と日本在住2年の中国人のチュンリーさんが結婚した場合、チュンリーさんは配偶者ビザを取ることが可能か。
答えは、「分からない」です。
専門家であっても、判断するためには情報が少なすぎるんですね。
チュンリーさんに犯罪歴がないこと、交際歴が1年以上あること、お二人の収入がそれなりにある、と言う情報があれば「許可される」と判断できます。
この判断については、ビザ・在留資格の申請ができる行政書士は誰しも同意いただけると思います。
でも、これらの条件を下回った場合(例えば交際歴が短いなど)はどうでしょう。
条件が厳しくなればなるほど、判断は分かれていき、また、あやふやになっていきます。
判断できるだけの経験や知識が無いからです。
また、「どうしたら許可されるか」というノウハウが無いと、厳しい条件であれば「許可されない」と判断するしか無くなります。
一般的に、交際歴が短くなるにつれて配偶者ビザを取れる可能性は下がりますが、申請内容や申請するタイミングを工夫すれば可能性を高めることは可能です。
また、海を隔てての遠距離恋愛をしている場合はどうでしょう。
交際歴5年で何度も会われているのであれば、犯罪者でもない限り配偶者ビザを取れるでしょうが、結婚相談所のようなカップリングサービスや出会い系で出会われた方は、その出会い方そのものがマイナスです。
いや、出会い方が悪いと言っているわけではありません。
ビザ・在留資格の許可/不許可を判断するあたっては総合的評価の上での判断なのですが、マイナスに働くと言うことです。
そのため、ビザの申請時にはマイナス部分をカバーする必要性があります。
例えば、結婚相談所などではマイナスを補うために一連の結婚パックの中で、一定の逢瀬の回数を設定したり親族との接点を持たせるようにしていますね。
きっと、裏で行政書士などの専門家が指導しているのだと思います。
また、会員になれる条件を引き上げる(例えば収入面)ことで許可されやすい人をターゲットにしていると見受けられます。
要するに、医療と同じように行政書士によって判断も講じる方法も変わるということです。
申請に対する許可/不許可の判断は法務省(内容によっては外務省)が総合的に判断するのですが、その判断を許可に向かわせるように導くことが行政書士の仕事の一つです。
医療の例に置き換えれば、診察と治療が行政書士の役割で、治癒すれば許可、治らなければ不許可と言えます。多分…
どのような場合にセカンドオピニオンを求めた方がいいの?
行政書士などの専門家に依頼する場合、初めから複数の事務所に問い合わせした後に依頼することが消費者として最も賢い方法です。
と言っても面倒ですよね。
時間もストレスもかかります。
私からのオススメとしては、次の3つのどれかに当てはまる方は、他の専門家にセカンドオピニオンを求められた方がいいと思います。
①ビザ・在留資格の専門性の低い事務所に依頼してしまった
②専門家の方針に納得がいかない
③専門家に断られた
①ビザ・在留資格の専門性の低い事務所に依頼してしまった
先ほど、ビザ・在留資格の申請は申請取次の資格がなければできないと説明しましたが、別の話です。
その専門家が、資格上の専門家ではなく、本当の専門家なのかどうか、です。
ビザ・在留資格については外国人を相手にするだけに、他の行政書士の仕事とは毛色も違いますし、扱う法律も特殊です。
つまり、他の業務との全く違う分野になるので、「他の仕事のついでにやっている」人では間違った判断をしてしまう可能性も高まりますし、業務に関する情報量が少なすぎて、申請者(依頼者)に迷惑をかけることもあります。
渡航する必要がないのに、もしくは渡航しなくても済む方法があるのに、その専門家は知らないかもしれません。
それにもかかわらず、渡航してしまってはウン十万を損することになりますよね。
見分け方は色々ありますが、「この仕事一筋何10年」という方は本当の専門家の可能性大です。
というか、ほんまもんじゃなければ何10年も商売続けられないでしょうし。
ただし、法律なんて時間が経てば変わるものですので、情報のアップデートを心掛けているかも注意を払う必要があります(そのルール古いよ、なんてことも)。
また、ホームページでは専門ページがあるのはもちろん良いと評価できますが、他の専門ページも負けじ劣らずの場合。
これは怪しいです。
専門家が複数人いるならまだしも、一人で複数の分野を扱っている場合は専門性に疑いがあります。
耳鼻科の先生は耳鼻科だけを扱っているから専門性を時間も機会もあるわけです。
脳外科医のゴットハンドは足の骨折の治療はしません(そうですよね?)。
申請代行の依頼先に専門性が無い/低いと感じられたら、別の専門家に相談しましょう。
②専門家の方針に納得がいかない
お二人の交際状況によっては、専門家から「こうしてください」「こうした資料を集めてください」などと指示されることがあります。
指示に納得できなければ、他の専門家に相談することもアリです。
また、ご自身で色々調べられている方も多いと思いますが、調べた結果、「こうした方がいい」と結論を出されることもあると思います。
そうした結論はぜひ依頼先にぶつけて相談していただきたいのですが、納得できないこともあるかと思います。
それは、せっかく自分で出した結論が間違っていると言われて納得できないということもあると思いますが、実は専門家が間違っているという可能性があります。
①の理由のように、単純に専門家に専門性が足りなかった可能性もありますし、お互いの意思疎通がうまくできていなかったかもしれません。
ビザの専門家ではあるけれど、苦手な分野だったのかもしれません。
③専門家に断られた
はっきり言っておきますが、専門家に断られた方は複数の専門家に相談しましょう。
ビザ、特に配偶者ビザについてはお二人の人生を左右するものです。
そんな大事な申請の依頼を、一人の専門家に断られただけで諦めないでください!
もちろん明らかに許可されないケースももちろんあります。
その場合は諦めて違う人生を模索してください。
でも、その前に諦めるだけの情報を集める努力はしてください。
その方法の1つにセカンドオピニオンがあるということです。
せっかくなので、不許可についてもう少し。
私たち行政書士は申請者のビザ・在留資格の許可を得るためのお手伝いをしています。
誤解しないで欲しいのですが、「許可される人を、きちんと許可に導く」ことを仕事にしているんです。
「許可されない人を、なんとかして許可を取らせる」ことは仕事にしていません。
申し訳ないですが、そこだけは譲れませんので宜しくお願いしますね。
※こんなことを言ってしまうと、不利な情報は言わないでおこうと思われるかもしれませんが、包み隠さず伝えてください。不利な情報、虚偽の内容は、申請した後の行政の審査でバレる可能性が高いです。専門家が許可するわけではありませんので、その点はご安心くださいね。
行政書士にセカンドオピニオンを依頼するときに気をつけること
特に、「セカンドオピニオンをお願いしたい」と言わなくても大丈夫ですよ。
「他で申請をお願いしているんですが、〇〇の理由でこちらでも相談したい」「他で断られたのですが、お願いできますか」などと言えばOK!
〇〇の理由は、率直に言えば良いです。
現状に不満がある/心配事があるわけですので、そこは素直にお伝えください。
また、相談時はできるだけ資料をお持ちされた方がいいです。
申請済みであれば、申請書類の控えを専門家から貰っているはずですので、それをお持ちください。
「(あなたは許可されるはずですが)この申請書類では、不許可になります」と判断することも可能になります。
また、話は変わりますが、はてなブログでも時事問題を中心にブログを書いていますので、よろしければ見てくださいね。